大好きな君
“さくら”
綺麗な音が汚いトイレにこだまする
ずっとずっと名前負けしていたこの“さくら”を呼んでいる声に
頬が火を出しそうなくらい赤くなる
「碧くっ・・・・ん」
あの日から名前で呼びあうようになって
ずっと聞き逃さないようにしていた名前で碧くんが呼ぶ
「大丈夫」
安心できる声に包まれて
私はゆっくりと顔をあげた
「なんかあったのか?逢沢と」
「・・・・・・うん」
「なんか言われたのか?女子に」
「・・・うん」
「辛いのか?」
「うん」
うん、しか行ってなくても怒らないでくれる
湊と碧くんは似てる
無理強いしないでそばに居てくれる
テンポが悪くても悪口なんて言わない
どんなに酷い仕打ちの後でもホントに私をみてくれる
忘れてる訳じゃない
喉がつまりそうになって息ができない
呼吸が止まりそうなくらいの圧迫感
今わかった
これが
“後悔”