大好きな君


“さくら” 


綺麗な音が汚いトイレにこだまする

ずっとずっと名前負けしていたこの“さくら”を呼んでいる声に

頬が火を出しそうなくらい赤くなる



「碧くっ・・・・ん」



あの日から名前で呼びあうようになって

ずっと聞き逃さないようにしていた名前で碧くんが呼ぶ



「大丈夫」


安心できる声に包まれて

私はゆっくりと顔をあげた



「なんかあったのか?逢沢と」

「・・・・・・うん」

「なんか言われたのか?女子に」

「・・・うん」

「辛いのか?」

「うん」


うん、しか行ってなくても怒らないでくれる

湊と碧くんは似てる

無理強いしないでそばに居てくれる

テンポが悪くても悪口なんて言わない

どんなに酷い仕打ちの後でもホントに私をみてくれる


忘れてる訳じゃない


喉がつまりそうになって息ができない

呼吸が止まりそうなくらいの圧迫感



今わかった

これが


“後悔”



< 42 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop