その一枚が二人を出会わせ、永久に愛を誓う
ドアを開けると、彼女の姿は無かった。



僕はどうしようもない男だ。



こんな雨のなか舞台の公演時間が迫っているというのに、彼女はわざわざ僕のために来てくれた、それなのに僕は・・・



カメラマンの返事など待たなくても、僕の心はずっと決まっていたじゃないか。



僕は便箋のなかに一緒に入っていた写真だけを持ち、ただ走り出した。



涼子と僕が出会ったあの一枚を持ち、アパートから駅までの道のりを、ただ、ただ全力で走った。



今、この気持ちを伝えなければいけない。



メールや電話ではなく、直接彼女に会って伝えなければいけないのだ。
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