金魚すくい






ーーガンッ。



……痛い。


お義父さんが私の頭を踏みつける。



「今日から始業式だったんだろう?」



ーーガンッ。



「今日は早く帰ってくるってママから聞いてね。偶然私も今日は半日で仕事が終わったから帰ってきてたんだよ」



ーーガンッ。



「バイトばかりでろくに顔も見せない」



ーーガンッ。



「……不良娘の躾をするために、なっ!」


「げほっ……」



今度は溝落ちに蹴りが入った。


痛みに涙が流れる。


痛みで頭が割れそうだ。


だけど、痛みよりも強い感情ーーそれが、恐怖。



「……やめて」



か細い声が漏れだした。


それは心の声なのか、発したものなのか。



「……なんだと……?」



どうやら発したものだったらしい。


再び私の腹部に強い痛みが走り、嗚咽が溢れた。



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