金魚すくい


お義父さんは部屋の扉を開けて、出て行った。


私は流れ落ちる涙を拭おうとも、手に残った灰を払おうともせず、ただ無機質な天井を見上げて考える。


どうしてこうなったのかと。


まさかお義父さんが帰ってるとは思わなかった。


いつもは夕方まで帰って来ないから。


今日は平日だし、いるはずないって思ってた。


だからまっすぐ家に帰って夕方にはバイトへ行く準備をしようと思ってたのにーー。


部屋に入った瞬間、私の体は硬直した。


そこにいた人物を見て、思考が停止したのだ。



ーーお義父さん……。



そう言った後、気がつけば床に倒れていた。


頭を何度も踏みつけられながら。





ああ……誰か、って…………。




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