金魚すくい
ひとり公園のベンチに座って、お腹を抑える。
まだ気持ち悪い。
それに痛みで足が震える……。
こんな状態ではバイトにだって行けない。
バイト先には連絡を入れたから大丈夫だけど、あの家にはいたくない。
ーー怖い。
だけど、私には他に行くところなんてないから……。
そう思うと自ずと涙が溢れて、私の視界を滲ませる。
するとその時だった。
「ーー柚子?」
窺うような遠慮がちに声をかけてきたのは、
「やっぱり柚子だ……どうかした?」
幼なじみの、優。
ゆっくり近づいてくる優に気づかれないよう、慌てて溢れていた涙を拭った。
だけど、
「……泣いてるの?」
優は見逃さない。