金魚すくい
「なに?」
「本当にやらなくてよかったの? 柚子は金魚すくいしたかったんでしょ?」
優はいつも私の事を気にかけてくれる。
いつも私の事を最前に考えようとしてくれる。
とっても優しい幼なじみだ。
そんな優に微笑みを向け、
「いいの。私は金魚が欲しかっただけだから」
本心を言葉にした。
その言葉を聞いた優は、切れ長な目尻を下げ、同じく微笑んでくれた。
「そっか」
「……なーにがそっか、だ!」
雄馬は優の頭を叩き、
「柚子! 今度は俺がでっかい金魚すくってやるからな!!」
胸を張ってそう言って、駆け出した。
そんな姿を睨みつけながら優は叩かれた頭を抑えて、叫んだ。
「そんな野蛮人には一生無理だろ」
「っんだとー!」
「やるか?」
「やってやろうじゃねーか!!」