金魚すくい
「2人してなに? どーいう事?」
せっつく私に雄馬は真っすぐ向き直る。
「俺達は優がいなくなって、どこか気まずさがあったよな」
「う、うん」
「柚子といると自ずと優の事を思い出しちまうし、柚子もどこか居心地の悪さを感じていただろ」
「そんな事……」
居心地の悪さだなんて……。
ただ優の事で苛立ったり、心配してる雄馬を見て、どうすればいいのか分からなかっただけ。
そうしたら一緒にいても会話が減ってしまった。
3人でバランスの取れていたものが崩れてしまったってだけ。
雄馬といて居心地が悪いなんて感じた事、一度もないよ。
「でも似た様なものを感じていたのは確かだろ? 俺もそうだった。だから俺は柚子と距離をおいた」
私もそれを無言で了承した。
追いかけなかったんだ。
本当は優が帰ってきた時、いつでもあの時に戻れるよう一緒にいたかった。
……けど、私の周りを取り巻く世界は変わり始めていたから。
それに気づかれたくなくて、雄馬とは距離を作ってしまった……。