金魚すくい
「あっ、もしかして……柚子ちゃん他に好きな人が出来たとか?」
ふーっと煙草の煙を吹き出した口元が、楽しそうに弧を描いていた。
「ちっ、違いますよー!」
「じゃあその逆?」
「そうじゃなくって……」
私はなるべく手短に説明した。
幼なじみの雄馬と、訳あって離れ離れになっていた優。
だけど優と再会を果たした。
すると優は昔から私を好きだったらしく、それを知っていた雄馬は再会を期に、私と一旦別れると言ったーー。
そう話を説明した後、私は口をつぐんで俯いた。
自分で説明していて、なんとも言えぬ気恥ずかしい気持ちになったから。
私の事が好らしい、2人の幼なじみ。
正直見てくれには、自信がない。
だから余計にこの状況がしっくりこないのだ。
なのにそれを自ら説明してるというのも、なんだかイタイ……と、そう思って。