金魚すくい
話を聞いていた勉さんは、細く長い煙を吐き出した。
「……その1人の幼なじみって、こないだレストランで会った彼?」
そっか、勉さんは優に会ってるんだっけ。
はいと答えた私に対して、勉さんはふーんと相づちをうった。
「じゃあ、どうするの?」
「どうする……とは?」
「いやいや、だってね、2人は柚子ちゃんの事が好きなわけでしょ?」
「そう……ですね」
どうすると言われても……。
「好きじゃないの?」
「そんな事ないです! 2人とも大切な幼なじみですから」
勢いよく返答した私に対し、勉さんは溜め息のような煙を吐き出し、煙草の火を灰皿に押し付けて消した。