金魚すくい
またまた〜。
勉さんが私なんかと付き合う訳がない。
そこまで自分に自惚れていないつもりだ。
「冗談はやめてください。私は今、結構本気で悩んでるんですから」
そう言ってはははっ、と笑ってみせた。
だけど、同じく笑っていたはずの勉さんはもう笑っていない。
その表情は真剣そのものだった。
「柚子ちゃん……よく周りから鈍いって言われるでしょ」
「えっ」
今日、優に言われたばかりだ。
「鈍い……ですか……?」
恐る恐る問い返した。
同じ日で2度も言われば、さすがに不安にもなるというもの。
……私……そんなに鈍いの?