金魚すくい


たとえあの人が一緒にいたとしても、ママの前では攻撃してこようとなんてしない。


事が起こるのは、いつも決まって私とあの人の2人きりの時だけ。


他に誰かいれば決してその本性を晒そうとはしない。



……それが分かっているのに、それでも傍にいると思うだけで怖くてたまらないんだーー。



「どうかしたの、ママ」


「柚子、明日はバイトあるの?」


「うん、あるよ」



バイトは学校が始まってからも毎日のようにシフトインしている。


よっぽどの事がない限り休み希望は出さないようにしているから。


なるべく家にいる時間を削るために。


だけど、その回答はママにとって不満だったようだ。


だってそう言った瞬間、あからさまに眉間には深いシワを刻んだから。


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