金魚すくい


だが、同時にーー。



「柚子……この手、どうしたの?」



疑念の色が悲しみの色を塗り替え、どんどん広がりを見せる。



ーーその理由は私の手のひらを見た瞬間だった。



私の手首を掴み、手のひらの焼け跡から私へ視線は移される。


数日経った今もそれは鮮明に残っていた。



「家で料理した時にちょっとね……」



慌てて優の手を振り払おうとするが、さらに力強く握り締められて、逃れられない。


代わりに私は顔を逸らし、逃げた。


優の責めるような瞳から。


< 200 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop