金魚すくい
「……柚子」
今度は心地よい声色で、私の耳にそっと届く。
同時に優は、空いていた方の手を私の俯いた頭部に置いた。
優しく、そっと。
触れるか触れないか、それくらい、優しく。
「この間頭に瘤をつくってたろ? あれ、まだ腫れが引いてないよね」
瘤のある辺りに、暖かい熱を感じる。
優がそこを優しく撫でる。
「おかしいと思ったんだ。角で打ったくらいでこんな大きな瘤が出来るわけがないって、さ」
ーーああ、もうやめて。
やめてよ、ほんとに。
必死で堪えてるのに、涙が出そうだよーー。
「…………全部、ホントの事、なのになぁ〜」
消え入りそうな私の声。
だけど、それでも彼は言葉を捕まえてくれた。
「……そんなに、言いたくないの?」
今度は優の方が、消え入りそうな声を出した。
「それとも、俺には言いたくない……?」