金魚すくい
「柚子、大丈夫か」
今度は背後から声が飛んできた。
振り向くと、人の輪の中から掻き分けるように向かって来る雄馬の姿。
「優から聞いたけど、お前腹壊してたんだって?」
「うん、でももう大丈夫だよ」
すると私の頭に手をかけようとした雄馬が、道半ばでピタリと止まる。
あっ、しまったって顔してるから、きっと私の頭を撫でようとしたんだと思う。
でもこないだ瘤があった事知って、気にしてくれてるんだね。
別にいいのに。