金魚すくい
「ーー柚子!!」
ーー。
ーーこの声は。
優……?
「……っ!」
体が重い。
全身が痛い。
……もう、いいや。
優の声がするわけない。
もう、いい。
どーなってもいい。
「……ろ……」
微かに声が聞こえる。
優?
「や……ろ……」
いいや違う。
やっぱり違う。
これはあの人の声。
きっと今も私を殴り続けているのだろう。
……ただ、もう既に殴られてる衝撃は感じない。
中枢神経が麻痺しているんだろうな。
もう体を殴る衝撃は特別なものとは感じなくて、反応していないのかも。
それでも、痛みは私の全身を覆っている。
それは今殴られてるものなのか、これまでのものなのかは分からないけれど……。