金魚すくい
ーーガッ。
「……やめっ」
時々溢れるように吐き出されるお義父さんの声。
苦しそうに、滲み出るような微かなもの。
その声よりも無数に聞こえるのは、鈍くて重い衝撃音。
だけど、それらは私の少し離れた所から聞こえる。
さっきまで馬乗りになって殴られていたはずだ。
時々立ち上がっては、蹴り飛ばされていたはずだ。
それなのにその時よりも声も音も遠い。
目を開けたのと同時に、聴力も戻ってきた。
それでもやっぱり、体を起こすことが出来なくて。
重い。
私の周りだけ重力による不可が何倍もかかっているようなーーそんな感覚。
涙で濡れた視界を必死に巡らす。
眼球を動かすだけで頭痛が酷くなり、吐き気がする。
だけど、それでもこの奇妙な状況を見定めようと辺りを見渡した。
ーーすると。