金魚すくい


あの後。


すぐにママと連絡を取り、私は病院に運ばれた。


優に抱きしめられながら、今度は安心からか、再び意識を失ったのだ。


夢など一切見る事も無く深い深い眠りの中から帰ってきた時、世界はめまぐるしく変わっていた。


ママは泣いて私に抱きついてきた。


そんなママを見つめながら、私は点滴の管を付けた状態で白い病室の白いベットの上で横たわっている自分を観察していた。



ーーとうとう知られてしまった。



そう思って。


硬直する私に、ママは泣きながら謝った。


そして一番恐れていた言葉を宣告したーー。



『離婚する事にしたわ……』



安堵する気持ちと同時に、いいやそれ以上に罪悪感が私を襲う。


……ママの幸せを壊してしまった罪悪感。


私はママの手を握り、謝った。


ごめんなさい。


壊して、ごめんなさい、って。


今すぐ消えてしまいたい……そう思えるくらいに。



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