金魚すくい


「……すみません」



私は頭を下げて謝った。


私が勉さんを大人だと思っているように、勉さんも私を年下だと思い接してくれていた。


お互い形は違ったけど、年の差を感じていた。


それが勉さんにとっては上手く距離を測れないものだったのかもしれないな、って思う。


だから冗談のような物言いだったのだろう。



煙草の火を消して、気を取り直した様子でいつもの口調で話し出した。



「謝らないでよ。俺すっごく惨めじゃんか」


「すみませっ……あっ」



思わず口を抑えた私に向かって、勉さんは声を立てて笑った。



「ははっ、相変わらずだね」



返す言葉もない。



「でもさ、また、ご飯くらいは誘ってもいいかな?」


「あの、それが……2人じゃなければ大丈夫です」



何となくモジモジとしてしまう自分がいる。


勉さんの反応を見るのがもの凄く恥ずかしかった。



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