金魚すくい
◆
「お疲れさまでした」
夕方。
今日のバイトは終わり、出勤してきた時と同じ裏口から店を出た。
ママには友達とご飯を食べて帰ると言ったが、本当はそんな予定は無い。
家でご飯を食べるのが嫌で、いつも近くのファミレスで食事を済ませて帰るのだ。
今日は何を食べて帰ろうかな。
……なんて、ファミレスのメニューなどもう食べ尽している私は、だいたいいつも決まってるのだが。
その時、
「ーー叶さん」
店の駐車場を抜けたところで、誰かに声をかけられた。
誰だろう……そう思って振り返った先にいたのは、
「あっ、勉さん」
夕日をバックに煙草を吹かして微笑む、勉さんだった。