金魚すくい


  ◆



「お疲れさまでした」



夕方。


今日のバイトは終わり、出勤してきた時と同じ裏口から店を出た。


ママには友達とご飯を食べて帰ると言ったが、本当はそんな予定は無い。


家でご飯を食べるのが嫌で、いつも近くのファミレスで食事を済ませて帰るのだ。


今日は何を食べて帰ろうかな。


……なんて、ファミレスのメニューなどもう食べ尽している私は、だいたいいつも決まってるのだが。


その時、



「ーー叶さん」



店の駐車場を抜けたところで、誰かに声をかけられた。


誰だろう……そう思って振り返った先にいたのは、



「あっ、勉さん」



夕日をバックに煙草を吹かして微笑む、勉さんだった。



< 26 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop