金魚すくい
その笑顔がとても綺麗で、以前バイトの子が言っていた言葉を思い出した。
『勉さんってカッコいいよね! 大人の雰囲気でてるしさ!!』
うん、確かにイケメンだなぁ……。
「お疲れさま」
そう言ってポケットから取り出したのは携帯灰皿。
短くなっていた煙草の火を消し、そのままそれを灰皿の中へと入れた。
「えっと、どうしたんですか?」
「どうしたんですか、って……酷いなぁ。今朝言った事、覚えてないの?」
「今朝……?」
何言われたっけ……?
なんて、頭を捻りながら必死に今朝の出来事を思い出す。
「……あっ!」
思い出した瞬間、私の肩は小さく揺れた。
「思い出してくれた?」
その様子を見てか、勉さんは更に微笑んだ。
「はい、でもまさか今日だとは思わなくって……」
それに今日はお店が忙しかったせいで、その事自体すっかり忘れていたのだけど……。