金魚すくい
「着いたよ」
そう言われて着いた先は、いかにもお洒落そうな開け放たれたオープンレストラン。
入り口のそばにもテーブルが並べられ、テラスから覗く店内は薄暗い。
しかしさほど敷居は高く無く、カジュアルな店だという事は、店にいる客層を見れば一目瞭然だ。
さすが大学生、お洒落な店を知ってるんだな……なんてことを思いながら店の中を覗く。
「叶さん?」
キョロキョロと忙しなく見渡す私はきっと、田舎から上京でもしてきたおのぼりさんに見えただろう。
勉さんに恥をかかせない様に気をつけなくちゃ。
控えめに微笑んで、私は勉さんの後を追った。
「勉さんこういうとこによく来るんですか?」
注文したパスタやパンがテーブルに並び、それを食べ始めた頃私はやっとまともに口を聞いた。
「たまにね。大学も近いし、価格もリーズナブルだからね」