金魚すくい


今度はさっき飲み干した時に新しい水を頼んでいたおかげで、むせずにすんだが。


しかし彼は私をパスタで喉を詰まらせて、殺す気だろうか。



「ははっ、なんてね。ごめんごめん俺は彼女いないよ。いたら叶さんと2人でご飯になんて誘ったりしないし」



何事もなかったように話を続ける勉さん。


これも大人の余裕から来るものなのかな……?



「そうなんですか。意外です」


「そういう叶さんはどうなの?」


「……私は、います。……多分」



言って、残っていた水を飲み干した。



「……多分?」



不可解といった表情で私を覗き込む勉さん。


その視線から逃れるように、店内を見渡した。


気がつけば店は満席になっていて、店員は慌ただしく料理やドリンクを提供している。



「多分ってのはどういうこと?」


「あー……つき合おうって言われたんですが……」



どう言ったらいいのか……。


苦笑いを浮かべながら、頬を掻いた。



< 33 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop