金魚すくい
今度はさっき飲み干した時に新しい水を頼んでいたおかげで、むせずにすんだが。
しかし彼は私をパスタで喉を詰まらせて、殺す気だろうか。
「ははっ、なんてね。ごめんごめん俺は彼女いないよ。いたら叶さんと2人でご飯になんて誘ったりしないし」
何事もなかったように話を続ける勉さん。
これも大人の余裕から来るものなのかな……?
「そうなんですか。意外です」
「そういう叶さんはどうなの?」
「……私は、います。……多分」
言って、残っていた水を飲み干した。
「……多分?」
不可解といった表情で私を覗き込む勉さん。
その視線から逃れるように、店内を見渡した。
気がつけば店は満席になっていて、店員は慌ただしく料理やドリンクを提供している。
「多分ってのはどういうこと?」
「あー……つき合おうって言われたんですが……」
どう言ったらいいのか……。
苦笑いを浮かべながら、頬を掻いた。