金魚すくい
「とっても似合ってるよ」
「ほんと!? 嬉しい、ありがとう!」
私は袖先で頬を隠しながら微笑んだ。
そんな朗らかな空気が流れる中、
バシッ。
「いてっ!」
「何かっこつけてんだよ!」
雄馬が優の頭を叩いたのだ。
叩かれた後頭部を抑えながら、いつの間にか背後にいた雄馬を恨めしく見やる。
「もー! 雄馬はすぐに手が出るんだから」
「そーだ、野蛮人め」
「あっ、てめ言ったなー!!」
そう言いながら優と雄馬は私の周りを駆け走る。
2人とも笑いながら。
そんな様子を見て、私は呆れながらも口元に笑みを零した。
「もー2人とも、早く行こうよ」
2人はゆっくり距離を取りながらも足を止めて、私を真ん中に挟んでお祭りの中を歩き出す。