金魚すくい
2人ともなんだかんだ言って実はすごく仲が良い。
あれは単なる戯れ合いなのだ。
だけど……。
「えーい!」
「わっ!」
「おわぁっ!」
私は2人の腕に抱きつきながら、陽気な太鼓林が流れるお祭りの中を駆け抜けた。
右手に優、左手に雄馬。
私だって戯れ合いたいんだからね!
引っ張られるような形で2人は私の少し後を駆ける。
その時、右にいる優が私の腕を引っ張りながら足を止めた。
「柚子、金魚すくいあるよ」
指が示す方向に、それはあった。
ねじりはちまきなんて、あたかも出店のおっちゃんらしい格好をした人の足元には、広くて浅い水槽。
透明なその水槽の中にひしめき合う様に泳ぐ無数の金魚達。
「柚子、金魚すくい……する?」
優しく問いかける優に、私は瞳を輝かせて頷いた。
「うん!!」