金魚すくい
「じゃあ、またね」
「あっ、はい。ありがとうございました」
そう言って勉さんはバイクを吹かした。
「また誘うから。でももうあの店には誘わないけど」
「え?」
「ずっと心ここにあらずって感じだったから……気づいてなかった?」
心ここにあらず……。
偶然優と再開し、でも、私は涙を堪えるので必死だった。
声をかけてもらったのに、返す事ができなかった。
込み上げてくる感情を抑えるのに手一杯で、数年間もの想いを抑えるのは容易な事ではなくって。
だから何も言ってあげられなかった。
久しぶりだね。
元気にしてた。
今までどうしてたの。
今はどうしているの。
ーーずっと、会いたかったよ。
それは、全て口にする事が出来なかった言葉達……。