金魚すくい
そおっと自分の部屋へと向かう途中、
「なんだ帰ってたのか」
突然リビングの扉は開かれた。
ーードクン。
体は硬直する。
恐怖から顔を向ける事もできず、私はその場に立ち止まる。
怖い。
恐怖が足元から這い上がってくる。
ぞろり ぞろり……と。
それは私の腹部をも攻撃し始める。
痛い。
思わずお腹を抑えた時、奥からさらに声が聞こえた。
「あら、本当だわ。どうしたの、柚子?」
それはママの声。
私はやっと顔を向けて挨拶をした。
「……ただ、いま」