金魚すくい
私はそれだけ言って、その場を去ろうとした。
……が。
「柚子、帰ってきたらちゃんと挨拶しないとダメだぞ。ママも心配してるんだからな」
そう言ってお義父さんは微笑む。
その後ろからママもやって来て、
「そうよ。毎日外でごはんばかり食べてないで、明日はちゃんと家で食べるのよ。いいわね?」
「わかった……」
私は首を振って頷き、そのまま部屋へと一目散に去っていった。
「あの子ったら、小さい頃はあんな感じじゃなかったんだけど……反抗期なのかしら」
「難しい年頃だからね。あまり厳しく言いすぎるのも返っていけないよ」
「でも……」
声は私が部屋に入り、扉を閉めたところで届かなくなった。