金魚すくい
私は1人、新しいクラス分けされた教室へ向かう。
今日から正式に高校2年生だ。
だけど1年から2年になろうが、たとえ3年になろうが私にとっては代わり映えしない。
早く高校を卒業して、就職して一人暮らしをしたい。
あの家を早く出たいのだ。
あの人がいない遠いところへ。
「ねぇ雄馬、今日学校終わったら遊びに行こうよ」
私の足は一瞬歩みを止める。
教室の扉を開けようとした時、その言葉は中から聞こえて漏れてきた。