金魚すくい


「あっ、えと……」



どうしたものか……。


私が困ったようにへらっと笑うと、



「チッ」



よく聞こえる音量で舌打ちを鳴らす、雄馬。



「もういいから早く自分のクラスに行けよ、ブス」


「何よ! 言われなくても戻るわよっ」



追い出すように教室から押し出される女子。


そんな彼女が私の隣を通り過ぎる瞬間、明らかな敵意の目と、ブス、という捨て台詞が私に向かって浴びせられる。


その言葉に肩を竦め縮こまり、萎縮する。


言われた言葉に異論なんてない。


背は低いし、別にとりわけおしゃれでも可愛いわけでもない。


そんな私とは正反対でおしゃれな感じの女子。


長い髪を巻いて、化粧だってあまりしていない自分より断然上手い。


石鹸みたいな匂いがしたが、あれは香水だろう。


あの彼女は雄馬の事が好きなのだろうか……?


こんな時でさえ、どういう反応をしたらいいのかわからない自分が何より情けないと思う。



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