金魚すくい
編入生という目新しいものがこのクラスにやってくるというだけで、誰もが口々に囁き合う。
男か女か。
カッコいいか可愛いか。
好奇の目が一斉に入り口へと注がれた。
そんな中、堂々とした風貌で教室内に足を踏み入れた人物はーー。
ーー……っあ。
私の意志に関わらず、思わず開いた口が塞がらない。
同時に教室内に女子の甲高い黄色い声が響き、その声を一斉に受けながら編入生は教卓の隣で立ち止まった。
「今日からこの学校に編入して来た、柏木ーー」
先生が編入生を紹介する声を遮るようにガタンと大きな音を立てて椅子を引いたのは、きっと雄馬だろう。
振り向かなくたってそれくらい分かる。
だって……。
「コラ、小倉。今紹介してるところだろうが……」
「…………優」
雄馬は再び先生の言葉を遮った。