金魚すくい
優はほんのり目尻の角を落とし、頬を柔らかく引き上げて笑った。
「……久しぶり」
そう言った優の視線は、最後尾にいる雄馬から最前列にいる私へとスライドさせながら……。
「なんだ、お前ら知り合いか?」
先生は相変わらずかったるそうな物言いで優に投げかけた。
「はい。幼なじみなんです」
「そうだったのか」
聞いておきながらも、先生はやはり興味なさそうな様子で雄馬に座るよう促し、優の自己紹介を続けた。
だけど先生の声なんて私の耳には右から左に流れて、何も入っては来ない。
その代わり、目はしっかりと優を捉えていた。