私、恋愛初心者なんですが。


彼氏かぁー……
それっていたら楽しいのかな?
なんか変わるのかな?
……なんかめんどくさそう……


彼氏というものの必要性を全く感じた事が
なかった璃子は眉間にシワを寄せ少し悩む

そんな事をモヤモヤ、頭で考えつつ
授業を受けていた


すると隣の席の野村翔太(のむらしょうた)
通称ノムがぐちゃっと丸まった紙くずを投げてきた

“何ぼーっとしてんだよ”


そう書かれた紙を見て野村を見ると
頬ずえを着きながらこちらを割りと真剣な目で見ていた

ノムは弓道部でいわゆるイケメン
淳平の可愛らしい感じとは違い、

凛とした二重の目
長すぎず好青年の印象を与える黒い髪
整いすぎだろ、と言いたくなる顔


璃子はノムとは男友達のようなもので
よく喋ったりする

でもノムは他の女子とはあまり話しているイメージがない

恭子に以前、
“ノムって璃子に気があるんじゃない?”
と言われたが

仮にもイケメンのノムが璃子と喋るのは
そういう厄介な関係になることはない
と、踏んでいるからだと璃子は思っている

加えてノムは男兄弟しかいなく、
女の子と話すのが少し苦手そうだ


ぼーっと考えノムの顔を見ながら溜め息を吐き


何でもないでーす

とふざけた顔をし、口パクで答えると
釈然としない顔をしたがまた前を向きなおした

それから昼休みまでの授業はよく覚えていない



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