キミ想い


「お返し?」


首を傾げた直後、私はハッと思い出す。


「あぁっ! 今日ってホワイトデーだ!」

「……忘れてたのか」

「うん。綺麗に」


力強く頷くと、蓮は苦笑いして。

けれどすぐに気を取り直したように言った。


「お返しな、俺……なんてのはどうだ」

「……何のエロ漫画よ」

「そこでエロ漫画ってハッキリ言うお前、最高」


いや、なんか嬉しくないんですけど。


「でも、そういう話じゃない」


言って、蓮は私を見つめる。

そして……いつもより甘さのある雰囲気で言葉を紡いだ。


「なずなは、俺をどう思ってる? ただのダチか?」


突然の質問と、私を真っ直ぐ見つめる蓮の眼差しに、ドキドキと心臓がせわしなく踊る。


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