キミ想い


「そう思うなら言うな」


蓮が私と右京を遠ざけるように間に入ったから。


「佐伯……」


右京が僅かに瞳を丸くして驚いた様子を見せて。

多分、私はそれ以上に目を丸くしながら蓮の背を見ていた。


「それとも、まだ自分に気があるとでも思ってるのか」

「……そんなつもりはないさ」

「言っておくが、またなずなを泣かせるような事はするなよ? いくら雪平でも許せないからなぁ」

「肝に命じておくよ。じゃあ、また明日」


右京はいつもと変わらない微笑みを浮かべて、一人、私たちの前から去って行った。

蓮は右京の後姿を見つめているのか、私を振り返る事がない。


「蓮……なんであんなこと言ったの?」


背中越しに問い掛けると、蓮はやっと私を振り返った。


「確認するなんざ卑怯だからだ」


蓮の表情はどこか冷たい。


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