キミ想い


それから一週間後、それは起こった。


授業中に着信していたんだろう。

携帯に着信ありと出ていて、番号を確認した。

そこにあったのは登録されていない番号。

かけ直そうかとも思ったけど、知らない番号だったのでそれは止めた。

留守電もないし、必要だったらまたかけてくるだろうと思ったから。


同日、帰宅してすぐ──

私の携帯が着信を告げる音を鳴らした。

見ればまた知らない番号。

しかも今度は昼間と違う番号だった。

私は怪訝に思いながらも通話ボタンを押して携帯を耳に当てた。


「……もしもし?」

『あ、もしもーし?』


……知らない、声だと思った。

だけど。


『なずなちゃんでしょ?』


私の名を確かに呼んだから、私は「はい」と答えた。


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