キミ想い


「今からもうひと試合するか?」


言いながら、私の頬に蓮の手が滑る。


「なんかオジサンくさいよ、その言い方」

「言ってから自分でも思った」


私たちは小さく笑い合って。


「明日からしばらく練習がハードになるから、寂しくならないように愛情の貯金しといてやる」


つまり、私と会うのが今までより困難になるって言いたいんだと理解した。


笑みを浮かべながらじゃれるように口付けられて。

そんな蓮に私は愛をたっぷりと込めて言った。


「だったら私の愛もたっぷり貯めておいてね」



携帯は鳴らない。



部屋にはただ、幸せの気配だけが満ちていた。











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