キミ想い
「張ってみねぇ?」
桃原の提案に首を傾げると、彼は好戦的な目をしてニヤリと口の端を上げる。
「誰が入れてんのか突き止めてみようぜ」
「突き止めるって、どうやって……」
「毎回授業が終わったら速攻下駄箱に行く! で、隠れてりゃうまくいけばバッタリ!」
いや、確かにそれが確実かもだけど、なんて忙しい計画!
第一……
「そんなうまくいくかな。部外者だったら確実に授業中を狙ってくるだろうし」
なんとなく不安で眉をひそめると、そんなの気にした様子もなく桃原はいたずらっ子のように笑った。
「まあ、とにかくやってみようぜ」
言って、桃原は私の背中を叩く。
大きく、どこか安心するような桃原の手に私はゆっくりと頷いたのだった──‥