キミ想い
でもそうすると……
「じゃあ何で……」
「妬み的な? 喧嘩して別れたって聞いたけど……手ぇ貸すとかアンタも最悪じゃん」
桃原が軽蔑した眼差しを夏目さんに送ると、夏目さんは悔しそうに唇を噛んだ。
「し、仕方ないじゃない! 私はあの子の親友だしっ」
夏目さんが吐き捨てるように言葉にした刹那、桃原がにっこりと笑った。
「はい、確定なー」
「あっ!!」
しまったという顔になった後、夏目さんの顔色が一気に青ざめていく。
と、桃原はスッと掴んでいた腕を解放した。
もちろん、夏目さんはすぐさま走って逃げてしまう。
その後ろ姿を見ていた桃原が小さく零した。
「……これでどうなるかだな」
多分、桃原はわざと逃がした。
彼女を逃がす事で私たちにバレた事がおそらく野宮さんに伝わるからだ。