キミ想い
「後で電話するから、タイミング良いなら落ち合うくらいの予約は許せよ」
「うんっ」
私だって蓮とデートしたい。
だから嬉しくて、私は何度も首を縦にふって喜んだ。
それを見た蓮は優しく微笑んで。
「じゃあな」
私の頭をポンッと撫でるように叩いて去って行った。
それを見送って私は野宮さんとの約束の場所へと移動する。
確か女子剣道部の部室……だよね。
でも確か女子剣道部って今は活動してないんじゃなかったっけ?
だから部室は使われていないはず……なんだけど。
話しをするなら他の場所でもいいのに、そこである理由はなんだろう。
今さらながらに気になってきたけど、本当に今さらで。
私は少しの不安を抱えたまま、女子剣道部の部室の前に立った。
ノックをすると中から野宮さんらしき人の声が聞こえて。
「どーぞ」
くぐもった声でそう聞こえたから私は少しの躊躇いの後にドアノブを回した。