キミ想い


テレビ画面にはお昼の再放送ドラマが映し出されていて、こちらにも恋に悩む女の子が一人。

偶然と言うべきか、このドラマの主人公もまた、好きな人が自分の親友を好きになってしまった状況にいる。

悩んで、隠し続けて……泣いて。


でも、大丈夫なんだよ。

私は物語の結末を知ってる。


チャンスが巡ってきて、彼女は好きな人と幸せになれるのだ。


今の私には羨ましい設定。


私にも……チャンスが巡ってくるんだろうか。


そんな事を考えながらソファーに座っていると、キッチンにいたお母さんから声がかかる。


「お母さん、そのドラマ好きじゃないのよね」

「……どうして?」

「だって、主人公の子が遠慮し過ぎなんだもの」


遠慮、か。

確かにそうかも。


それに、同じ状況にいる今の私には痛い言葉だ。


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