キミ想い


何の音もしない。

私だけになったんだ……


「っ……ぅ……」


こんな姿のままこんな場所に取り残されて。

目蓋を覆う布が私の涙で濡れていく。


蓮っ……助けて……!


心の中で叫んだ時だった。

静かだった部室内に突如バタンッという大きな音が響いて。

その音に私が驚きで肩を震わせた直後。


「片桐!!」


聞こえた声は、蓮でなく。


「もも、はら?」


目隠しと口を覆っていたガムテープが外されて、開けた視界に最初に飛び込んできたのはやっぱり桃原の姿だった。


「どうして……」

「夏目が助けてやってくれってさっき──」


桃原が涙でぐしゃぐしゃになった私の目元を拭ってくれたその時。


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