キミ想い
カシャッ!
シャッター音が桃原の言葉を遮った。
途端に桃原の眉間に皺が寄って、私に自分の着ていたジャージの上着を掛けると周りを確認する。
私も急いで辺りに視線を泳がせると……
部屋の隅に、彼女がいた。
さっき、出て行ったはずの野宮さんが、携帯を片手にニッコリと笑ってて。
「成功~。転送も完了っと」
携帯を操作し終わると、野宮さんがディスプレイを私たちに向けて見せる。
遠くて良く見えないけど、そこには私と桃原が写っているようだった。
「野宮……お前っ!」
桃原が怒りをあらわにして野宮さんを睨む。
だけど野宮さんは別段気にした様子も見せずに勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。