キミ想い
「お母さんはね、隠す必要なんてないと思うのよ」
「失恋確実なのに?」
「それはね。でも、もしも告白したら心変わりしてくれるかもしれないじゃない」
いやぁー…それはいくらなんでもポジティブ過ぎやしないか、母よ。
第一、恋をすると人は臆病になる。
振られるっていうのは拒絶される事で、それはとても傷つく事だ。
そして、それを覚悟で告白するのはとても勇気のいる事。
今の私には、その覚悟はできてない。
……ダメだ。
どうしても暗くなってく自分がいる。
右京の想いを知った日から、心から笑えた事なんて数少ない状態だし……
「……気分、変えよ」
呟いて、私は立ち上がるとキッチンにいるお母さんに出掛ける事を告げて家を出た。