キミ想い


これ以上は無理だ。

騙し続ける事も、涙をこらえる事も。

想いを吐き出さないようにするのも。

だから私は、制止する蓮の声を聞こえないふりして……


通話を終了させた。


「……っ…うっ……ひっく……」


ボタンを押した刹那、我慢できずに膝を抱えるようにうずくまって。

呼吸がうまく出来ない私の肩に、優しい手がそっと宥めるように添えられた。


「片桐……」


名前を呼ぶのは、私を置いて帰らずに側にいてくれていた人。


「桃原っ……」


私の顔はきっとひどいだろう。

だけど、そんなのも気にならないほど……


蓮への愛しい気持ちを涙に変え


肩に置かれている桃原の手のぬくもりを感じながら


泣き続けた。


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