キミ想い


だけど、どうしたってうまい理由が思いつかない。

好きな人がいるという理由や、気持ちがなくなったという理由は使えない。

私が蓮を好きで仕方ないという気持ちを、蓮自身が感じていたはずだから。


無言で俯いたままの私。

そんな私の顎を蓮がグイッと持ち上げた。


目が合って。


「……泣いたのか」

「……泣いてないよ」


ヘタな嘘。

それ以外に腫れる理由がないのに。


「何があった」

「何も……?」

「ウソつくな。明らかに昨日、俺が帰った後に何かあった。別れ話に至る何かが」

「…………」

「どうしてそれが言えない? 誰かに口止めされてるんだろ」


ドキンッと心臓が反応して、次の瞬間には血の気が引いた。


< 184 / 404 >

この作品をシェア

pagetop