キミ想い
だけど、どうしたってうまい理由が思いつかない。
好きな人がいるという理由や、気持ちがなくなったという理由は使えない。
私が蓮を好きで仕方ないという気持ちを、蓮自身が感じていたはずだから。
無言で俯いたままの私。
そんな私の顎を蓮がグイッと持ち上げた。
目が合って。
「……泣いたのか」
「……泣いてないよ」
ヘタな嘘。
それ以外に腫れる理由がないのに。
「何があった」
「何も……?」
「ウソつくな。明らかに昨日、俺が帰った後に何かあった。別れ話に至る何かが」
「…………」
「どうしてそれが言えない? 誰かに口止めされてるんだろ」
ドキンッと心臓が反応して、次の瞬間には血の気が引いた。