キミ想い


「えー、つまり、ここで使用する公式は──」


授業の内容がちっとも頭に入ってこない。

朝、かりんが言ってた蓮の事が気になってるからだ。


蓮の元気がない。


それはつまり、蓮がまだ私を想っていてくれているかもしれないという事だ。


怒ってくれてもいいのに。

嫌いになっても仕方ないのに。


やがてチャイムが鳴って、授業が終わってしまう。

私は手つかずだったノートを閉じると溜め息をついた。


頭がボーっとする。

体がだるい。

悩み過ぎて疲れてるのかな……


「片桐」


桃原の声に視線を上げれば、彼は心配そうに眉を寄せていた。


< 197 / 404 >

この作品をシェア

pagetop