キミ想い
「えー、つまり、ここで使用する公式は──」
授業の内容がちっとも頭に入ってこない。
朝、かりんが言ってた蓮の事が気になってるからだ。
蓮の元気がない。
それはつまり、蓮がまだ私を想っていてくれているかもしれないという事だ。
怒ってくれてもいいのに。
嫌いになっても仕方ないのに。
やがてチャイムが鳴って、授業が終わってしまう。
私は手つかずだったノートを閉じると溜め息をついた。
頭がボーっとする。
体がだるい。
悩み過ぎて疲れてるのかな……
「片桐」
桃原の声に視線を上げれば、彼は心配そうに眉を寄せていた。