キミ想い
STORY23 【変わる為に踏み出す一歩】
熱は一晩で下がった。
他に目立った症状もないから、多分疲れが原因なんじゃないかと思いながら、学校へ行く支度をする。
鞄を持ってリビングに入ると、朝ごはんを用意してくれているお母さんが私を振り返った。
「おはよう。学校行くの?」
「うん、熱下がってるし」
「そう」
卵焼きが乗ったお皿をテーブルに置いたお母さん。
「そういえば、最近、蓮君来ないのね」
まさかここで今、蓮の名前が出るだなんて予想もしてなくて。
私の心がズキンと大きく痛んだ。
「……別れたから」
「やっぱりそうだったの。残念、お母さん蓮君のこと気に入ってたのに」
少しだけ笑うと、お母さんはキッチンへと戻る。
蓮の存在はこの家にもまだあるんだね。
早くこの想いを忘れないと痛くてたまらない……
ほとんど残してしまった朝ご飯。
私はお母さんにごめんねと告げてから学校へと向かった。