キミ想い
二時限目の授業が終わった。
トイレに行った私は鏡で自分の姿をチェックしてリップを塗る。
私以外に生徒はいない。
鏡に映っている私の姿は、蓮と別れた直後に比べればまだマシな顔色をしていた。
少しは、だけど……
小さく溜息を吐き出して、私は鏡の前から離れる。
トイレから出て教室に戻ろうと廊下を歩いていた私の視界に入った者。
友達と話しながらこっちに向かって歩いてくる、蓮の姿。
ドクン、ドクンと心臓が忙しなく騒ぐ。
普通に、しなきゃ。
なんとか足を動かして、前に進む私。
早く目を逸らせば良かったのに。
蓮の視線が、私の視線とぶつかってしまって……
今まで楽しげだった蓮の雰囲気が一変する。
彼の表情からは色が失せ、無表情のまま私から視線を外した。
痛い、よ。
感じた強い心の痛み。
それをどうにか沈めたくて、私は俯いた。