キミ想い


「どうして怒ってんのよ」

「怒ってねぇし」

「そう? じゃあ笑って」

「嫌だね」

「ほら、怒ってる」


突っ込むと桃原は更にムッとした。


「私が原因?」


何となくだけど、可能性があるとすれば私が蓮の事を口にしたからだ。

どうしてそれで桃原が怒るのかはわからないけど、タイミングを考えればそれしか検討がつかない。


桃原は何も答えない。

沈黙が落ちる。

すると、ボソリと桃原の声が零れた。


「そんなに佐伯がいいのかよ」

「……えっ?」

「……俺さ、どうでもいい女を休みの日に誘い出したりしないから」


言って、桃原はテーブルに突っ伏した。

まるで顔を隠すように腕でカードまでして。


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