キミ想い
まあ、それも当然と言えば当然なんだよね。
桃原にとってこの交際は、私に自分を好きになってもらう為の交際なのだ。
「頑張ってくれてるんだな……」
想われている事がこんなにも嬉しい。
さっきの少し照れたような言い方がくすぐったくて、どこか愛おしくて。
私は桃原が来るのを自然と楽しみにしていた。
そして……
「よーっス」
まだ陽が完全に暮れる前に制服姿の桃原がうちにやってきた。
ニヘッと笑った彼は、やっぱりどこか照れているように見えて、私はまたクスリと笑ってしまう。
私は彼を自分の部屋に案内すると、すぐに飲み物を取りに出た。
麦茶とちょっとしたお菓子をいくつか木のお皿に入れて、それをお盆にのせると慎重に部屋まで歩く。
扉はまだ開いたままで、私が一歩足を踏み入れると。
桃原は緊張したようにクッションの上に座って室内をキョロキョロと見回していた。